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「きゃっ、ムグ!」
普段の私の動きじゃないのかのように素早く枕を取ると、押し倒した夕子の顔に押し付ける。
ダンッと大きな音がした。
けれど、私は覚めることはなかった。
笑みを浮かべた私は、包丁を強く握って夕子の首へと深く刺した。
赤い、赤い血が私の手を染めた。
音をたてて首を切り落とす。
固いはずなのに、私はなぜかそれほどの力を持っていた。
「クスクス…真っ赤で綺麗よ」
私が喋っているはずなのに、声が違った。
これは、誰の声―――?
あの黒い――?
「綺麗よ、ゆうこ。私のゆうこ」
(誰なの…?)
さっき見た幻想と同じように…私は微笑みを浮かべたまま、血が滴る夕子の頭を頬に寄せた。
そこから先、私の意識はなかった―――
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