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私が………いや、私じゃない別のものがゆうこと呼んだ。
親しい愛しい人を呼ぶような声だった。
勘違いじゃなければ、そうかもしれない。都合がよすぎるかもしれない。
私は一つの手掛りを見付けたのだと期待せずにはいられなかった。
私は慌てて手紙を読んだ。
『侑子へ
貴方がこの手紙を読んでいる時は、私はどうなっているでしょう。
父から郷野の家に嫁がれることを聞かされて、貴方は松田の家に嫁がれることも聞かされた時は心臓が止まるかと思いました。
私は侑子と離れたくないです。
嫁ぐぐらいなら、私は死んで侑子の側にいたい。
一緒に誰も知らないところに行きたい。
私達は、ずっと一緒よね。
鏡子』
「松田…」
母の旧姓が松田だったことを思い出した私は、急いで階段を降りた。
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