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「どうしたの?顔色悪いじゃない」
母が近寄っておでこに手をあてた。
「ちょっと熱いわね。風邪かしら?」
「少し頭が痛いから頭痛薬もらえるかな?」
私は母を見た。
母は困ったような顔をしている。
「学校行くの?」
私は頷く。
「はい、これ」
母は頭痛薬を出してきて私に渡してくれた。
「もう少し寝ていなさい」
「ありがとう」
私は台所で薬を飲んでから部屋に戻ると、もう一度布団に入って眠りについた。
視界がぼやけるなか、私は学校にいた。
「何これ…」
自分の手すらもぼやける。
これは、夢?
廊下を歩いてみて、ふと気になって足を止めたら二年C組の前だった。
何もしていないのに、扉が音をたてて開いた。
「な、なに……あっ!」
静まった学校のなか二人の笑い声がする。
「ゆ、夕子?」
驚きに震えていると、教室のなかに二人いるのがわかった。
一人は夕子だった。ぼやけていてもわかる。
双子だもの。
私は、ぼやけるもう一人を見つめた。
「萩本くん…」
彼の癖でわかった。
話していると、腕を組む癖。
なんで、あそこにいるのは私じゃないの?頭がズキズキとしてきた。
「痛い、痛いよ…夕子!」
夢の中だからか、二人は夜子に気付くことはなかった。
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