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この気持ちを気付かれないように――――
「私ね、今日、萩本くんに告白する」
「え?」
私は驚いて夕子の腕に爪をたててしまった。
「痛いっ」
「あっ!ごめっ…大丈夫?」
うっすらと赤くなった腕を見て、憎い黒い気持ちが和らぐのを感じる。
首を振って勘違いだと思うようにしても、その気持ちいい感じは忘れられなかった。
二人で家を出る時も、その赤くなった夕子の腕を見て気持ちをまぎらわしてしまった。
今日、私と夕子が髪型を交換したことに両親も友達も驚いたが、心境の変化だと夕子が言ったのにみんな納得していた。
今日だけだと言わないのは何故だろうと、気にかかりつつも、私は何も言えなかった。
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