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『おい、マジなんすか?マジであの部屋?』
『マジも超マジ!間近なマジカル!
何の事情か美女が居城!
二人揃って非常に巨乳!
更に無謀にも無防備でムヒョ~!』
『信じらんない情報!僥倖!
監視始める相棒!最高!』
聞こえる。
向かいのアパートの三階から、かわいそうな男二人の声。こちらは一階だ。
彼等が馬鹿なのは間違いないが、さすがに大きな声でワイワイ騒ぎながらこちらを覗いてる訳ではない。
部屋の電気を消して、こそこそとコソ泥の様に私達の身体を盗み見ようとしているのだ。唾棄すべき存在だ。汚らわしい。
でも、どんなに声を潜めても私には無意味。
悪意を持つパルスが伝わって来る。
悪意?……まあ、悪意とは少し別物だが、愚かな悪者には違いない。
どうしてやろうか?
卑猥な妄想に醜く歪んでいるだろう彼らの表情を、一瞬にして恐怖にひきつらせる。
もうしません、と土下座させた頭を踏み付け、完膚なきまでに叩き伏せる。
私にはそれができる。
しかし。
実行に移そうとすると、まるでタイミングを見計らったように彼女が話しかける。
そして振り返って思い留まってしまう。
ああ、原因はこっちにもあるんだ、と。
「ねぇライム?何恐い顔してるの?
一緒にこっちでテレビ観ようよぉ?」
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