立ち上がる聖者と従者

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確かに今は7月。エアコンが無いこの部屋は暑いに決まっている。 しかしだ。 「ほのか!その格好何とかならない? Tシャツと短パンぐらいは着て、カーテンも閉めるべきだ、はしたない」 毎日言っている。今日も言ってしまった。 「だって暑いんだもん! 覗きなんてされてないよ~。私みたいなへちゃむくれ見てどうするの? ライムを見てるなら分かるけど」 困ったものだ。何処の誰がへちゃむくれだと言うのだ。 私……ライムと不破(ふわ)ほのかは、全てのサイズが同じ。 身長167、上から88・57・82というのは、タレントが見栄を張って公表するレベルの数字だろう。 私だって人としての外見はおそらく悪くない自信がある。私が覗かれるに価するなら、当然ほのかもそうだ。 だいたいだな、たまたま街を歩いていて撮られた写真がきっかけで、ほのかは雑誌のモデルとして好評を得ているではないか。 断っているがテレビ出演の依頼もあるのだ。 カリスマとか呼ばれる程でないにしろ、綺麗だと認められたと言える女性がだ、自分の部屋とはいえ窓もカーテンも開けっ放しで。 更に下着だけで。 下着だけで、だぞ? 胡坐なんかかいてテレビを観ていて良いものか。 並みの男なら変な気持ちになっても仕方ない、かもしれないではないか。 自分が美人だという事を鼻にかけるのも困るが、全く分かっていないのもまた困りものだ。 「ライムみたいに年中ジーンズとTシャツでいるなんて無理だよお。ふにゃあ~」 「私は暑くても寒くても関係ないから。 とにかく、そんな格好でいてはいけない」 「わかったわライムお母さん。じゃあこれを……」
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