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「誰がお母さんよ」
だいたい行動は読めている。
「電撃戦隊レンジマンのマスクでも被るつもりだろう?」
「やっぱりバレた?」
ほのかに恋人が出来ても、片付けるまでこの部屋には連れて来ない方が賢明だろう。いや、私がこの身に代えても阻止してみせる。
日本の、特撮・怪獣ドラマの元祖とも言える
『フロムロマン』シリーズ。
等身大変身ヒーローの草分け的存在『派遣ライダー』シリーズ。
『電撃戦隊レンジマン』筆頭に、現在まで続く戦隊もの。
ありとあらゆる空想のヒーローが部屋中に溢れている。ポスターにフィギュア、専門誌、着ぐるみまで。はあ……
センスのいい流行の服や高価なアクセもちゃんとあるが、それらは押し入れでヒーローと同居している。
有名ブランドのバッグをアカデンジャーが警備していたりする。
鏡の前、口紅や香水等はそれぞれ担当の怪獣フィギュアが召使いの様に抱えている。
とても21歳の女性が住んでいるとは思えない、色気もへったくれもない空間だ。
しかもあろう事か、今夜のほのかの下着……
お尻を決めのポーズで守っているのは『派遣ライダーV5』ではないか。何という事でしょう。
だからいろんな意味で、今のほのかを覗き見られてはいけないのだ。
こんな姿を見られたらお嫁に行けない……
しかし。彼女のせいで随分こんな世界に詳しくなってしまった。
ああ私とした事が……恥ずかしい。
おっと、こうしてはいられない。
私は開きっぱなしの窓から向かいのアパートを睨んだ。
将来の恋人より、まず今は彼等の野望を阻止しなければ。
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