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嫌な予感程当たるもの。しばらく後、楽しいはずのバラエティーは様子がおかしくなり。
私達はテレビの前で思わず立ち上がる。
「ライム!」
ほのかが急いでブレザームーンの赤いTシャツから、外出用のやはり赤いキャミソールに着替える。
握りしめた携帯に揺れる聖者の文字が輝く。
愛用のワインレッドの携帯も静かに輝きを帯びる。
蛍光灯の灯りを弾いているのではない。自ら発光しているのだ。
私は無言でうなずいた。
私はほのかを守る為に有る。
『正義の味方』を夢見たほのかを。
だから、ほのかが守りたいものは全て私が。
雷の化身である私が、この能力で守ってみせる。
例え本当に伝説の大妖怪が現れたとしても。
私は身体を青白き電の翼と化してほのかを乗せ、共に空を駆けて行く!
「さあ行くわよ!ライムヒコーキ!」
……そ、そんな私だが、この美しき聖者様に一つだけ大きな不満がある。
勇ましい掛け声は良いが、ヒコーキって……
ヒーローが大好きなくせに、そのネーミングセンスは如何な物か。せっかく気分が乗っているのに。
こちらとしても格好良く能力を披露したいのだが。何とかならないだろうか。
とは言え私に良いアイディアがある訳でもない。気を取り直してとにかく任務を遂行する。
悪しき存在よ、今ライムが行く!
今宵こそ年貢の納め時だ!
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