夢咲く街に咲く噂

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苗字が早瀬だからハカセ。昔からそう呼ばれてる。普通は『博士(ひろし)くん』の為にあるあだ名だよね。 背が高めでちょっとガリガリで、いわゆる優等生?みたいな女の子を想像してもらえればそれが私。 眼鏡は掛けてないけど。 そんなどう見ても行動派には見えないはずの私を、ひかりは頭一つ分小さな体に溢れるパワーと好奇心、いや野次馬根性でいつも無理矢理巻き込んでしまうのだ。 中学生クイズ大会にも隣の県まで自転車で行ったなあ。 町内バレー大会に一緒に出場させられたり。私はブロッカーしか出来ないのに。 近所のお婆ちゃんの猫がいなくなって、市内をそれこそネコそぎ探したりもしたなあ。 でも決して嫌じゃない。 なんだかんだで楽しいし、私がいないと何をやらかすか分からないもんね。 一番大好きな友達……なんだけど…… さすがに『妖怪に会いたい!』なんて、そんな満面の笑みで言われても困る! 私は会いたくないし!だって妖怪だよ妖怪? それも大妖怪! ……興味が無くはないけど。 「い、出雲、早瀬、もしかして罵喰の話?」 そこへ近付いてきたのは、二年生で一番背が高い向井翔馬(むかいしょうま)君、178センチ。 次の剣道部主将と言われてて、地区予選では向かう所敵無し。 でも。 え、嘘。向井君が自分からひかりに接近して来たの?
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