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携帯を片手にニカッと笑う穂村先生。確か40歳くらいだったはず。
木漏れ日が揺れる芝生の上、胡座をかいた膝には小さなバッタがお休みしてた。
「早瀬も連れて来たな。由鳥だけに、ゆーとーりに来てくれたか」
……。
こんな事言ってる割に時代劇の俳優みたいなけっこう渋い顔立ちで、歴史の先生なのに筋肉質で背も高い。
生徒からはけっこう慕われてるけど、いわゆる親父ギャグが大好き。
教室を凍り付かせるのが得意、と紹介したら怒るかな。まあ、ちょっと変わった先生だ。
「さて、二人は俺の学校の中での特殊任務を知ってるか?」
「ひかり知らなーい」
「もしかしてあれですよね?
我が校の伝説にして、ただの先生の趣味と言われる、あの……」
「さすが早瀬由鳥、なんでも知ってるな」
先生が鞄から何かを取り出す。
その時、膝からバッタがピーンと跳ねて。
一瞬、蝉達の大合唱も途切れた様な気がした。
「出雲ひかり!
穂村想太郎認定、今年の【勇者】は君だ!」
「ゆ、ゆーしゃ!?
あー、アレって本当だったの!?」
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