"僕"の作り方

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小さい頃の僕         今日はもしかして… 微かに期待して 冷たいドアノブに手を伸ばす ガチャリ むなしく響くロックの音 そうだよね。 僕は鍵を差し、誰もいない部屋に入る 家族が帰ってくるまで 僕は一人で部屋にいたんだ さみしいなんて言葉知らなかった 音楽を教えていた両親は 夜になると家でレッスンをしていた   いつも音楽が聞こえていて 僕はその音に合わせて いつもいつも太鼓を叩いていたんだ 古くなったバケツに ガムテープを張った太鼓 音が鳴らない太鼓 自分の気持ちを言葉にする事が苦手だった 気付いて 僕はここにいる 消して届かない曇った音 いつも音楽があったんだ
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