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私は、洗面所から今度はリビングに向かった。
今日も、父ちゃんがリビングのソファーに、パンツ一丁でだらしなく座っていた。
私は、そんな父ちゃんに焼きたてのトーストを、手渡した。
「おぉ!サンキュー!」
そう言って、私の顔も見ずに父ちゃんがトーストをかじりながら、テレビを観ていた。
本当に、なんで母ちゃんはこんなボンクラなんかと、結婚したのだろうか?
私は、トーストを口にくわえながら、勢い良く家を出た。
すると、私の友達の茜(アカネ)が、すでに玄関の前で待っていた。
「おっそ~い!」
そう言って、茜が腕時計を指差した。
私は、溜め息を吐きながら、茜と肩を並べて歩き始めた。
『別に良いじゃん…。たったの5分遅れただけでしょ?』
私がそう言って茜を見ると、彼女が顔を引きつらせながら、口を開いた。
「あんたさぁ、そういういい加減な考え方止めたら?」
本当に、茜は私とは対照的な性格だ。
ずぼらで、いい加減でそれでもって反逆児な私とは違って、茜は人に流されやすく、マニュアルをきちんと守るような、クソ真面目な性格なのだ。
「よっ!」
すると、突然私達の前に、二人目の友達の樹里(ジュリ)が現れた。
『おはよう、ジュリー!』
樹里は、私達からジュリーと呼ばれている。
なかなか、オシャレなあだ名だ。
すると、ジュリーが茜を見て、チクりチクりと彼女をいじり始めた。
「おっ!どうした?茜…?また、キレてるの?」
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