曖昧な気持ち

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‥‥毎度こんにちは、柳瑞希です。 卒業式から一週間ちょっとたち、すでに春休みに差し掛かろうとしています。 先輩にフラれたショックからは多少立ち直りました。 ‥‥ていうか落ち込んでもいません。むしろ落ち込む暇もありませんでした。 何でかって?そんなの、あの同じクラスのあの馬鹿の‥‥ 「とぅわあ!?」 「テーピング中にボーッとしてんな馬鹿。さっさとしろ」 「へ‥‥あ、ああごめん!!」 頭にチョップを入れられ、痛みで現実に戻って来た。 慌てて手元に視線を落とす。 足首のテーピングをしてる真っ最中だった‥‥のに、思考はトリップ。 マネージャーとして不甲斐なくて、思わず落ち込んでしまう。 テープを切りながらチラリと彼‥‥山元恍の表情を確認した。 暇そうにペラペラとスコアブックをめくっている。 アンカーテープを切り、脛をポンと叩くと顔を上げた。 「ん。終わったよ?」 「おう、サンキュー。‥‥先輩達いないんだからちゃんとやれよ」 「う‥‥ごめん」 バッシュを履きながら鋭く言葉を吐き出す彼にシュンとして謝る。
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