曖昧な気持ち

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卒業式の日、私は先輩に告白した。 ――――そして、山元に告白された。 突然のことでホントにビックリしてパニックに陥って、正直あんま覚えてない。 確かに記憶にあるのは、妙に優しい触れ方とか声とか。 甘ったるい笑顔とか、熱の籠った瞳とか、か、髪に落とされた‥‥キス、とか。 『俺、お前のこと好きなんだけど』 その言葉を思い出す度、心臓がバクバクして顔が熱くなる。 告白なんてされるの、初めてだった。‥‥しかも、山元になんて。 山元恍。バスケ部所属で期待のエース。 高身長で、成績は上位者。運動神経も良くって、スポーツ全般万能だ。 しかも、一般的にはイケメンらしい。 サラサラの黒髪、スッキリとした切れ長の瞳は真直ぐだ。 スッと通った鼻筋とかぱっと見外国の女性みたいに綺麗。 肌は男子にしては白い方。 身長は高いけど、筋肉がついてるから細身では無い。 更に基本優しくて気配り上手くて盛り上げ上手。でも、バスケする時は真剣で真面目。 ここまで来れば女子が放っとく訳も無くて。 文化祭は他校の子に声をかけられ、バレンタインは多分、最低三十個は貰ってた。 実際友達に『瑞希は羨ましいなぁ山元くんと仲良くて』と何回か言われた。 山元は好みじゃ無かったし、私に対してはとことん意地悪で俺様だったから、 『あれと仲良くても羨ましくないでしょー』と返してた。
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