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‥‥卒業式が終わり、学校はどこか慌ただしい雰囲気からひっそりと静けさを増した。
誰もいない教室、窓際の席で座る俺と柳。
正直、すすり泣く声がうっとおしい。
春の暖かい日差しに目を細めていると、不意にタオルから顔を上げてこっちを見た。
目も鼻も真っ赤で、人前に出せる顔じゃない。
グチャグチャな泣き顔で、喉から声を絞り出すように小さく呟いた。
「‥‥いや、うん、分かってたんだよ?
彼女いるしさ、今年もう大学に行っちゃうような人だから仕様が無いって」
「だったら泣くな」
「っ‥‥でも‥‥でも好きなんだってばー!!」
叫びながらまた顔をタオルに埋める。
‥‥ったく、ウザい。
部活も無いので付き合ってやろうと思ったが、
もう置いて帰ろうかとぼんやり頬杖を付きながら考えた。
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