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溜め息を吐きつつ、柳を見る。
先程のふざけた発言とは正反対に、真面目な、落ち込んだ顔をしている。
割と低い声をゆっくり搾り出した。
「‥‥ホントにね、好きだったんだぁ‥‥」
「‥‥ん」
「メールとか‥‥嬉しくて、先輩のプレイ大好きで、ずっと見てたいくらい、格好いいなって‥‥」
「‥‥」
「分かってたのに、諦め‥‥つかないよ」
苦しげに言葉を吐き出す彼女は小さく見えた。
こいつは恋に関しては人一倍不器用で、泣き虫で、どこか意地っ張りで。
根っからの恋愛下手なんだろうと思う。‥‥それは多分、俺もだけど。
また瞳に涙を浮かべる柳の指に、俺の指を絡める。
驚いたように顔を上げるので苦笑を返し、そのまま言った。
「‥‥俺にしとけば?
先輩のこと、忘れさせてやるよ」
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