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ガタン!!と音を立てて立ち上がり、机の横のバッグを取る。
金魚みたいに真っ赤になって口をパクパク開閉してた柳は、
その音に我に帰ったのだろう、目を見開き俺に向いた。
だけど、それをシカトしてドアの方に歩いてく。
‥‥どうせ言われる言葉なんて分かりきってるし。
だけど背後でガツンとかたどたどしい足音が聞えて振り返ると、
柳が机に足を引っ掛けて転んでいた。
椅子も倒れてるから確実に転んだんだろうな‥‥。
何も言えなくて困っていると、柳は起き上がり本気で泣いていた。
制服は埃だらけ、スカートは皺だらけ、Yシャツは涙の染みだらけ。
‥‥俺も大概女の趣味悪くなったな、とか一人心の中で頷いてると、
柳は俺の制服の裾を掴み、恐る恐る視線を合わせた。
「わ、私、あのっ、先輩がっ、いやあの振られたんだけどあのっ」
「却下」
「‥‥はい?」
「だから却下。俺にしとけって言ってるだろ」
やっぱり断りの返事を持ち出す柳の言葉を途中で遮る。
困ったようにほろほろと涙を流す柳に、胸が締め付けられる気がして、眉をひそめる。
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