小さな瓶

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「お絵かきしてるの?」 「ウサギを書きたいんだけど…うまく書けないの」 「書いてあげよっか」 「ほんと?書いて書いて」 5歳くらいの少女が絵をねだる。 「ちょっと下手だけど…はい」 「わぁ~ありがとうお姉さん」 2人は笑顔になりあたりはやわらかい雰囲気がただよっていた。 そこへやはり5歳くらいの少女がやってきた。 「何を書いてもらったの?」 「ウサギだよ」 「私はキリンをお願いしてるけど…なかなかたまらないの」 「ウサギはまあまあだよ」 2人はそれぞれ持っていた小さな瓶を見せあった。 「ウサギは優秀だね」 「うん、でもやっぱり少しずつだね」 「人間の優しい気持ちからできた粒って同じ絵を書いても量はそれぞれ違うもんね」 瓶の中には錠剤くらいの粒がいくつも入っていた。 「天使の仕事も地味になったよね」 「忙しくないときは仕方ないよ、さぁもう時間だから帰ろう」 「そうだね、小さな子供だけじゃ不自然な時間になったね」 少女たちは自然に歩き始め目立たない場所からふわりと浮かび空へ帰っていった。 人間が優しい気持ちを忘れかけたらたまに天使が思い出させてくれる。 手段はいろいろ。
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