3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、今日引っ越して来たんだよね!」
「うん」
「じゃあ、引っ越し祝いあげるね!」
天美がそういうと木から蜜柑の実が一つ、ゆっくりと落ちてきた。
「えっ……」
正平が唖然としているうちに、蜜柑の実が天美の手に吸い込まれていった。
「やっぱり驚いてるね! まぁそれが普通だけどね……」
少し間を空けて蜜柑を差し出しながら続けた。
「はい、これあげる! 食べるときっと良いことあるよ!」
「あ、ありがとう!」
そう言って正平は蜜柑を受け取った。
「ねぇ、天美って一体……」
疑問を投げ掛けた瞬間、周りの風景が歪み、気が付くと麓の鳥居の前に立っていた。
「あれ………?」
すると風のように吹き抜ける声が聞こえた。
「私は天美……この山の守り神……山頂の蜜柑の木に住まうモノ……」
とある晴れた日の昼下がり。不思議な山で、また一つ不思議なことが起こった。
最初のコメントを投稿しよう!