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矢取り道に拍手が鳴り響く。
「また皆中かよ…」
俊が眉間に皺を寄せて毒づいている、その隣で俺は言葉を失っていた。
「…うん。あの大前、これで8射皆中だよ」
記録ノートを取りながら同意したのは真司。
それだけでも難しいというのに、問題は矢所。
全て中白の中に納まっているのだ。
「肩線が全っ然ブレないね…」
「会が長い…っ」
「残心キレイ」
「手の内も見たい!…ここからじゃよく見えないよ!」
部員達も驚きを隠せないらしく、射にくぎづけだ。
「研究熱心なのは良いけど、騒がないように。」
部長、哲哉の一喝。
途端に静かになる。
哲哉の信頼は厚い。
言うだけの事はしっかりやってるし、よく声もかけてくれる仲間思いのいい奴だ。
ただ、怒ると物凄く怖いんだよな…。
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