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「先輩っ、応援してます!頑張って下さい!!」
「大和ありがと。まかしとけ!」
男子の後輩、大和が声をかけてくれると俺はふざけた調子で答える。
どうしたんだろう、俺。
いつもは試合が楽しみで仕方なくて、控えにいる時なんてお預けをくらってるような気持ちだったのに…
今日は、心臓が激しくざわついている。
筆粉が手汗で少しずつ減っていく。
やたらと握り皮を触ったり、矢じりを揃えたり。
…落ち着かない…
「入場して下さい」
係員の生徒に言われ、俺はぶるぶると頭を左右に振った。
それでも雑念が頭の中を走り回る。
邪魔だ!出ていけよ!
そう心の中で叫ぶのに、何もかわらなかった。
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