冬の空

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「よし!!」 矢取りの帰り、矢取り道から発した声援が白い吐息に風化して消えていく。 気付けばもう12月。 二年生は、着々と歩みを寄せてくる『引退』の二文字を意識し始めている。 俺とてその一人だ、こうした矢取りの時間さえも惜しい。 手慣れた仕事を済ませると、すぐさまかけを着ける。 筆粉、ギリ粉もつけて矢を取り、的前へ向かう。 今は、時間がとにかく惜しい。 一本だって多く引きたい、 その気持ちは一年生の頃からずっと変わらないままでいた。
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