272人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし!!」
矢取りの帰り、矢取り道から発した声援が白い吐息に風化して消えていく。
気付けばもう12月。
二年生は、着々と歩みを寄せてくる『引退』の二文字を意識し始めている。
俺とてその一人だ、こうした矢取りの時間さえも惜しい。
手慣れた仕事を済ませると、すぐさまかけを着ける。
筆粉、ギリ粉もつけて矢を取り、的前へ向かう。
今は、時間がとにかく惜しい。
一本だって多く引きたい、
その気持ちは一年生の頃からずっと変わらないままでいた。
最初のコメントを投稿しよう!