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朝練・自主練はずっと続けているけど、正直全然足りない位だ。
俺達が目指すのは、全国。
…インターハイ。
安々と辿り着ける場所じゃないことは、判っている。
けれど、絶対に不可能な訳じゃあない。
だから、目指すんだ。
あの場所を。
「翔、帰ろうぜ」
道場の片付けを終えて着替えると、声をかけられた。
「ああ、行こう哲哉」
俺はよく哲哉とつるんでいる。
お互い二年だし、何より一年の頃からの朝練・自主練友達だというのもあって尚更だ。
こうして最後まで残って練習した後、共に帰路に着くのが日課となっている。
「……今日はどうだった?」
と、哲哉。
「俺?……んー、まだまだツメが甘いかな」
「昨日は8射皆中してたじゃん」
「昨日だけじゃ、ダメだろ」
…大方は弓道の話になる。
哲哉は部長という立場にあるけど、こうして弓道衣を脱げば普通の男子だ。
俺達は地下鉄に乗りながら、弓道の話、他愛のない話をして時を過ごした。
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