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少女は綺麗な蒼色の瞳を曇らせた。
「っ!この…人殺し!」
精一杯の虚勢も、男達の笑い声によって掻き消えた。
「恨むならお前を売った父親にするんだな…」
すると、別の男が叫んだ。
「まぁ、その父親も母親も今はもう天国だがなぁ!」
品のない笑い声が不穏に耳に響く。
「っ!…近寄らないで!」
少女は必死に相手を睨むも、勝ちめがないのは明らかだった。
「さぁ、大人しくこっちへこい!」
その時、華奢な腕を強く引っ張られた。
「っ!やぁあ!」
少女はもう終りだと悟り、目を強く閉じた。
「…?」
だが、ふと腕が軽くなったことに気づいて目を開けた。
「え?…なっ?!」
不思議なことに、さっきあれ程自分を追い詰めていた男達数人が倒れていた。
ぴくりともしない。
「…一体、何が起きたの?」
すると、突然目の前に黒い人影が立ちはだかった。
少女はびっくりして壁に思い切り背中を打ち付けた。
「っ!!」
まじまじと見つめる。
そこには、驚くほど美しい金髪の青年が月夜の明かりをうけて立っていた。
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