第一話

9/12
前へ
/349ページ
次へ
  電柱は小さく揺れ、僅かに砕けたコンクリートがパラパラとこぼれ落ちた。灰色のそれは、影山の拳の血で所々赤く染まっている。   「…………ッ!!」   拳が痛くなっただけで、何一つ気分は晴れなかった。影山は、電柱に唾を吐きかけ、今度は軽く蹴りつける。 少し、気分が良くなった。 残りのストレス解消は家でやろう。   「ん?」   そう思い、電柱に背を向けたその瞬間、白い何かが目に入った。何か落としたかな? と、辺りを見回してみる。   「な!? ……これは?」  
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加