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 さあ、あの道を真直ぐ歩けばいいんですよ。 誰かが、森の中にはしる道を指差して言った。 それは、自分の知らない(その他大勢)が踏み固め進んだ地面。 歩いた足跡を残したい。 生きた証を残したい。  あぁ、それなら道じゃない[柔らかい地面]を進んでみてください。  貴方の足跡は、はっきりと残りますよ。  貴方が、新しい道を切り開いてみてください。  貴方が生きた証は、はっきりと残りますよ。   その瞬間は。 貴方は知らずに、柔らかい地面を進む。 貴方は知らずに、生きた証をはっきりと残していく。 貴方は知らない。 後から、貴方の足跡をたどる(その他大勢)の人々を。 貴方の生きた証が、ただの道になっていくのを。  さあ、あの道を真直ぐ歩けばいいんですよ。 誰かが、森の中にはしる道を指差して言った。 貴方は、誰かの生きた証をたどっていく。 森という人生に、道という進路を走らせながら。  
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