想う気持ち

3/17
前へ
/38ページ
次へ
 せっかくこうやって会えたのはいいけど、私は本当にどうしたらいいのかわからなくなってしまった。  気になってたことをいきなり聞くなんて無神経だし、だからといって黙っていても何も始まらない……。  何か、何かきっかけを作らないと。 「ねぇ、あなたたち。今日はここで記念撮影もやってるのよ。衣装も演劇部から借りてあるの。撮っていかない?」  美雪さんが声をかけてきた。 「わーい、面白そう! やろっ、しずく!」 「あっ、ミキちゃん!」  早速ミキちゃんは、衣裳のある一角へ駆け出してしまった。  ミキちゃんてば、順応早過ぎ。でもそういうとこ、少し羨ましいけど。 「しずくちゃんはどうする? しずくちゃんは可愛いから、何を着ても似合うわよ」  ミキちゃんを目で追いながらため息をついていた私に、美雪さんが気を遣ってくれる。 「かっ、可愛くなんか! 美雪さんのほうがずっと綺麗です!」 「ふふっ、ありがとう」  美雪さんて、本当に綺麗な人だなぁ。それに優しそうだし、モテるんだろうな。  そう考えたとき、何となく視線を感じた。  その方向へ目線をやると、松木さんがこっちを見ている。  ――ドキッ。  な、何で松木さんがこっちを?  理由はすぐにわかった。  松木さんが見ていたのは、私じゃなくて、美雪さんだったんだ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加