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せっかくこうやって会えたのはいいけど、私は本当にどうしたらいいのかわからなくなってしまった。
気になってたことをいきなり聞くなんて無神経だし、だからといって黙っていても何も始まらない……。
何か、何かきっかけを作らないと。
「ねぇ、あなたたち。今日はここで記念撮影もやってるのよ。衣装も演劇部から借りてあるの。撮っていかない?」
美雪さんが声をかけてきた。
「わーい、面白そう! やろっ、しずく!」
「あっ、ミキちゃん!」
早速ミキちゃんは、衣裳のある一角へ駆け出してしまった。
ミキちゃんてば、順応早過ぎ。でもそういうとこ、少し羨ましいけど。
「しずくちゃんはどうする? しずくちゃんは可愛いから、何を着ても似合うわよ」
ミキちゃんを目で追いながらため息をついていた私に、美雪さんが気を遣ってくれる。
「かっ、可愛くなんか! 美雪さんのほうがずっと綺麗です!」
「ふふっ、ありがとう」
美雪さんて、本当に綺麗な人だなぁ。それに優しそうだし、モテるんだろうな。
そう考えたとき、何となく視線を感じた。
その方向へ目線をやると、松木さんがこっちを見ている。
――ドキッ。
な、何で松木さんがこっちを?
理由はすぐにわかった。
松木さんが見ていたのは、私じゃなくて、美雪さんだったんだ。
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