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教室のドアの向こうから、男の人が手を振っている。
ここからじゃよく見えないけど、美雪さんの表情を見る限りでは、美雪さんの彼氏、かな。
最初の印象で、美雪さんて綺麗な人だなって思ったけど、その男性を見たとたんに表情が変わったから。
ほんのり頬が赤くなって、女の子の顔になっている。
「ごめんね、しずくちゃん。ちょっと待ってて」
申し訳なさそうに私に笑顔を向けた美雪さんは、教室の外へ消えてしまった。
彼氏、かぁ……。
羨ましいな。
「しーずーくー? 早く衣裳決めなよー。あたし先に撮ってもらっちゃったよ」
ぼーっと美雪さんの出ていく様子を見ていた私に、ミキちゃんが少し怒った感じで声をかけて来た。
私は慌てて衣装を選びに行って、西高校の制服を選んだ。
――少しだけ。
今だけ松木さんの後輩の気分を味わいたかったから……。
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