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簡素な試着室に入り、ドキドキしながら着替える。
出来ることなら、この制服を来て、松木さんが通うこの高校で学びたい。
そんなことを考えながら試着室のドアを開けた瞬間だった。
「似合ってるよ、制服。はい、こっち向いて」
「えっ?」
かけられた声に反応して振り向くと、カシャッというシャッター音とともに、フラッシュが光った。
そして軽い笑い声が聞こえる。
「いい表情が撮れたよ。さっきの君の友達も可愛かったけど、君もいいね」
松木さんは笑顔だ。
別の人みたい。
あの雨の日の松木さんと……。
「あらっ、しずくちゃん? 制服にしたのね。似合ってるわよ」
ふいに話しかけられて、心臓がドキッとする。
美雪さんが戻って来ていた。隣には私服の若い男の人。
さっき美雪さんに声をかけていた人だ。
彼氏なのは間違いないみたい。
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