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「着替えようか、ねっ」
美雪さんが私を促した。
「はい……」
私が着替え終わって出てくると、克也さんが戻って来ていた。
追いついたのか追いつけなかったのかはわからないけど、話せる状態になかったことは、表情でわかる。
「君、ミキちゃんの友達?」
「え、あっ、はい」
克也さんはポケットから手紙のような物を差し出して言った。
「これ、ミキちゃんのお父さんに渡してくれないかな」
「え?」
私は手紙を受け取る。
どうしてミキちゃんのお父さんに?
一体どういう関係なんだろう。
「悪いな、美雪。また連絡するから」
「うん、平気。待ってるから」
克也さんは私に一礼し、美雪さんの頭に手を置いてから、教室を出て行った。
「しずくちゃん、変なこと頼んでごめんね」
克也さんの代わりなのか、美雪さんが私にちょっと困ったような笑顔を向けた。
私には何もわからない。美雪さんに聞いてもいいのかな……。
「あの、美雪さん……」
私が話しかけると、美雪さんは静かに口を開いた。
「ミキちゃんのことはごめんなさい。私も悪いの」
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