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どういうこと?
ミキちゃんにどうして美雪さんが?
「私と克也は付き合ってるの」
目を伏せて美雪さんは続ける。
「克也はインディーズでバンドやっててね。ミキちゃんのお父さんにお世話になってるの」
そういえば、ミキちゃんのお父さんって、小さい音楽プロダクションの社長さんだった。
それでミキちゃんと克也さんは知り合いになったのね。
「克也はミキちゃんを妹みたいに可愛がってたけど、ミキちゃんは……克也が好きで。克也はミキちゃんのお父さんに恩があるから私のこと言えなかったの。私はミキちゃんのこと知ってたんだけどね」
◆
帰り道、私はミキちゃんの家に寄った。
出て来たのはミキちゃんのお父さんだった。
「悪いね、しずくちゃん。ミキは誰にも会いたくないそうなんだ」
「そうですか……。あ、あの、この手紙、ミキちゃんのお父さんに渡すようにって。天沼克也さんってご存知ですか?」
手紙を受け取ると、ミキちゃんのお父さんは何かを察したようだった。
「そうか。ミキが泣いてたのは、克也くんが絡んでいたのか」
「えっ? 泣いてたんですか、ミキちゃん」
あの、いつも明るくて強いミキちゃんが……。
「ありがとう、しずくちゃん。気をつけて帰りなさい」
「はい。失礼します」
私は複雑な気分だった。
だって、誰も悪くないのにこんなにこじれてしまうなんて。
ミキちゃんは大丈夫なのかな……。
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