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誰かを好きになるのは自由なのに。
ううん、自由だからこそ、好きになる人が重なってしまうことがあるのかも……。
誰かを好きになる。
じゃあ私は?
不意に松木さんのことを思い出す。
松木さんのこと、好きかどうかはわからない。
でもやっぱり気になって仕方ない。
松木さんはどうしてバス停で泣いていたのか。
理由を知りたがる自分が不思議だった。
「あれ?」
家の近くの公園まで来た時だった。
夕暮れ時のグラデーションの空に、カメラを向けている人物に気付いた。
もしかして、あの後ろ姿……。
「松木、さん?」
思わず声に出してしまい、私は慌てて木の影に隠れる。
何で隠れたんだろう、私。
「誰かいるのか?」
ドキッ!
足音が、私のほうに向かって近付いてくる。
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