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どっ、どうしようっ!
私の動揺をよそに、足音は無情にもすぐそばで止まった。そして、声が降ってくる。
「あれ? 君は……」
――え?
意外な言葉に私は顔を上げ、声の主を見た。
「文化祭に来てたね。奇遇だな」
やっぱり松木さん……!
しかも、私のこと覚えててくれてた!
「私のこと、覚えてるんですか?」
私が聞くと、松木さんは一瞬、動揺したように見えた。
でもすぐに笑顔になる。
「それは、今日の今日だから」
そっか。
色々あったからすごく時間が経っているように思えたけど……。
全部、今日の出来事なんだ。
「松木さんは、どうしてここに?」
聞いたと同時に思い出した。
確か松木さん、文化祭の途中でいなくなって。
私が西高を出るまで会わなかった。
「抜け出して、そのままだよ。お祭りごとだから、俺ひとりいなくても誰も気付かないさ」
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