想う気持ち

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 次の日。  朝から空はどんより曇り。今にも泣き出しそうだった。  昨日、ミキちゃんかなり辛そうだった。  学校来るかな……。 「しずく! おはよっ」  いつもと変わらない、明るい声が後ろから聞こえた。 「ミキちゃん!」  私は思わず駆け寄った。  ……たぶん一晩中泣いたのだろう。  目が赤く、瞼が少し腫れていた。 「ミキちゃん……」  私はどう声をかけていいのかわからず、言葉につまる。  すると、ミキちゃんは笑顔になった。 「ありがとね、しずく」 「えっ?」 「気を遣ってくれて」  そう言うと、ミキちゃんはゆっくり歩き出した。 「あの後ね、克也さんの彼女……美雪さんから電話もらったんだ」  美雪さんから? 「ごめんね、なんて謝られちゃって」  そうか。  美雪さんは美雪さんで辛かったんだ。  それなのに、ミキちゃんを気遣って、わざわざ電話を……。 「負けたって思った! だから、応援することにしたの」  そう言ったミキちゃんの瞳に、微かに光るものを見た。  でも、ミキちゃんは笑っていた。 「すぐには忘れらんない。でも、もう大丈夫!」  ミキちゃんに、迷いの色はもう見えなかった。
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