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あの人に会える……?
ただ見ていることしか出来なかった、あの人に……。
私の胸は高鳴った。でもそれと同時に不安にもなる。
だってあの人は私のことを知らない。私だって、何かを知ってるわけじゃない。
どうしたらいいの……。
考え込む私の肩を、ポン、とミキちゃんが叩く。
「またそうやって後ろ向きになるー。何事も進んでみなきゃわからないでしょっ! ねっ、しずく」
ミキちゃんの明るい表情に、少しだけ私の背中を押された。
「わかったわ、ミキちゃん。一緒に行く」
「そうこなくっちゃ!」
私の、小さな疑問。
あの人は何故あの場所に立っていたのか。
どうして私がそれをそんなに気にしているのか。
あの日感じた切ないような気持ちを、あの人に会ったらまた感じるのかを確かめたくて、私は西高校の文化祭に行くことにした。
あの人に、会うために。
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