出会い

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 西高校に着くと、先に来ていたミキちゃんが手を振って私を呼ぶ。 「来ないかと思ったよー! 遅刻!」 「ごめんね、ミキちゃん」  謝った私を、ミキちゃんが笑顔で見つめる。 「ふぅん。かわいいじゃん」  どうやらミキちゃんは、私がどんな格好をしてくるのか楽しみにしていたらしい。  私は恥ずかしくなって、帽子を深く被る。 「帽子は邪魔じゃない?」 「き、今日は日差しが強いから……」  しどろもどろに私が言うと、ミキちゃんは仕方ないなぁとでも言いたげに笑った。 「さて、行こっか! とりあえず出店は全部制覇だね!」  本気とも冗談ともとれる口調でそう言いながら、ミキちゃんが歩き出す。  私もはぐれないように後を追った。  ……ここに、あの人がいるんだ。  高鳴る鼓動を抑えつつ、私は人混みに溶け込んでいった。
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