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教室いっぱいに貼り出された写真。
そのほとんどが風景で、どれも青空がメインに写っていた。
「綺麗……」
私はその一枚一枚に魅了されていた。
でも、何か感じる違和感。
けれどそんなのはすぐに忘れてしまうほど、素晴らしい写真が並んでいた。
「ねぇ、どこの学生さん?」
不意に話し掛けられ、びっくりして振り返ると、そこにはさっき声を掛けてくれた綺麗な人が立っていた。
「あ、ごめんね唐突に。私は写真部副部長の、梶美雪(かじ みゆき)よ」
ふわっと笑ったその笑顔は、とても優しくて、私も言葉を返す。
「北中三年、麻生しずくです……」
「北中なの?だったらうちの部長の後輩ね」
「部長さんの?」
私が口を開いたその時。
奥から一人の男子生徒が現れた。
「マサのヤツどこいったんだよ! フィルム終わってんぞ」
――!
あの人、もしかして……。
「マサくんなら、さっき出て行ったわよ。ね、それよりこの子、松木(まつき)くんの後輩だって!」
私の胸の鼓動はこれ以上早くならない程鳴っていて……周りに聞こえてしまうのではと心配になった。
「へぇ、後輩かぁ。オレ、松木っていうの。ここの部長だよ」
時が止まった気がした。間違いない。
この松木さんが、あのバス停の人だ……!
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