出会い

8/8
前へ
/38ページ
次へ
 教室いっぱいに貼り出された写真。  そのほとんどが風景で、どれも青空がメインに写っていた。 「綺麗……」  私はその一枚一枚に魅了されていた。  でも、何か感じる違和感。  けれどそんなのはすぐに忘れてしまうほど、素晴らしい写真が並んでいた。 「ねぇ、どこの学生さん?」  不意に話し掛けられ、びっくりして振り返ると、そこにはさっき声を掛けてくれた綺麗な人が立っていた。 「あ、ごめんね唐突に。私は写真部副部長の、梶美雪(かじ みゆき)よ」  ふわっと笑ったその笑顔は、とても優しくて、私も言葉を返す。 「北中三年、麻生しずくです……」 「北中なの?だったらうちの部長の後輩ね」 「部長さんの?」  私が口を開いたその時。  奥から一人の男子生徒が現れた。 「マサのヤツどこいったんだよ! フィルム終わってんぞ」  ――!  あの人、もしかして……。 「マサくんなら、さっき出て行ったわよ。ね、それよりこの子、松木(まつき)くんの後輩だって!」  私の胸の鼓動はこれ以上早くならない程鳴っていて……周りに聞こえてしまうのではと心配になった。 「へぇ、後輩かぁ。オレ、松木っていうの。ここの部長だよ」  時が止まった気がした。間違いない。  この松木さんが、あのバス停の人だ……!
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加