第四章~深愛~

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拓翔 『む…んむ…』 涼香 『ん…んん…』 ちゅ… ちゅ… ちゅぷ… 二人だけの空間… 二人だけの場所… 二人だけの時間… 俺は貪るように… 涼の唇を求め… 無我夢中で吸い付いた… そのキスは… 怜の時とは全く違った… 心身共に満たされる… そんなキスやった… キスは… 激しさを増し… いつしか… 舌をねっとりと絡ませ合う濃厚なものへとなっていった… 柔かい唇… 幾度も幾度も絡み合う… 舌と舌… 飽きる事なく繰り返す絡み合い… それはまるで、長かった空白の時間をお互いが埋め合うかのように… また、お互いの愛情を確かめ合うように… お互いの愛しさをぶつけ合うように… 果てる事なく続いた… 拓翔 『涼…ホンマ好きや…』 …俺は…いつの間にか、自然とこんな台詞を囁いていた。 言うた自分自身もびっくりした。 ずっと溜め込んどった想い… その本気の想いが初めて言葉になって出て来た瞬間やった… 唇を離し… 涼の目を見つめながら… 俺は… 想いを―…。 涼の目から… 一筋の光が流れ落ちた。 まるで… 遥か天空から流れ落ちる流星の如く… その光は…流れ落ちた。 涼は、俺にきつく抱き着いてきた… そして… 涼香 『アタシも…ホンマに好き…その言葉…ずっと待ってたんよ…』 拓翔 『涼香…』 二人は― 再び唇を重ね合わせた。 先程より激しく…熱く…。 そして… お互いの体を求め合うた。 不器用な愛撫… 不器用なキス… せやけど… お互いに直に肌と肌を合わせ、お互いの温もりを感じ合い… 確かめ合うお互いの愛情… 部屋には… 二人の空間には… 熱いお互いの吐息だけが… 切なくも激しく響き渡っていた。 拓翔 『涼香…俺…もう…涼香ぁ…っ…』 涼香 『拓っ…翔ぉ…っっ…』 お互いに… 不器用ながら… 一生懸命に… 激しく… 愛情をぶつけあった…。 シーツには… 愛の契りを交わした後に咲く、紅の花が咲いていた…。
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