476人が本棚に入れています
本棚に追加
「可愛さん、僕と付き合って下さい!」
照れているのか顔を真っ赤にする彼。
「ごめんなさい。気持ちだけもらっておくね、ありがとう」
私がにっこりと且つ申し訳なさそうに微笑むと、彼はペコリと頭を下げて私の前から走り去った。
「どう思う!? あり得なくない!?」
「あははっ。それで? その男は?」
「走り去ったよ。てか、告るなら名前言えっつーの! お前誰だよってツッコミたくなったわ」
私が先程告ってきた男に悪態づくと、隣にいる唯一無二の親友である滝沢沙良(たきざわさら)が、面白そうに笑う。
こんな話を聞かれたら、と思うとゾッとするが、大丈夫。
ここは普通鍵のかかっている屋上だ。
なぜ開いているかって?
そりゃあ開けたから。私のヘアピンと自慢の腕を使って。
「仕方ないでしょ。アンタ学校一の美少女だもん」
「どこが? 何ですか、皆さんの目は節穴ですか?」
「またそんな事を。どう見たって美少女だって。栗色のウェーブのかかったふわふわの髪に、クリクリの瞳。整った小さな鼻に、桜色の唇。しかもスタイル抜群ときたら、どこから見たって美少女じゃない。立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花ってねー」
大袈裟に語る彼女を横目に私は盛大な溜め息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!