世界一嫌いな愛のコトバ

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「可愛さん、僕と付き合って下さい!」 照れているのか顔を真っ赤にする彼。 「ごめんなさい。気持ちだけもらっておくね、ありがとう」  私がにっこりと且つ申し訳なさそうに微笑むと、彼はペコリと頭を下げて私の前から走り去った。 「どう思う!? あり得なくない!?」 「あははっ。それで? その男は?」 「走り去ったよ。てか、告るなら名前言えっつーの! お前誰だよってツッコミたくなったわ」  私が先程告ってきた男に悪態づくと、隣にいる唯一無二の親友である滝沢沙良(たきざわさら)が、面白そうに笑う。  こんな話を聞かれたら、と思うとゾッとするが、大丈夫。 ここは普通鍵のかかっている屋上だ。 なぜ開いているかって? そりゃあ開けたから。私のヘアピンと自慢の腕を使って。 「仕方ないでしょ。アンタ学校一の美少女だもん」 「どこが? 何ですか、皆さんの目は節穴ですか?」 「またそんな事を。どう見たって美少女だって。栗色のウェーブのかかったふわふわの髪に、クリクリの瞳。整った小さな鼻に、桜色の唇。しかもスタイル抜群ときたら、どこから見たって美少女じゃない。立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花ってねー」 大袈裟に語る彼女を横目に私は盛大な溜め息をついた。
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