世界一嫌いな愛のコトバ

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 はぁーと頬杖をつきながら盛大なため息をこぼすと、前の席の小瀬木薫(こせきかおる)君が振り向いた。 「どうしたの?すごいため息」 「んーちょっと疲れたかな?」 「美少女も大変だねぇ。俺は平凡だから可愛の気持ちは分かんないよ」  彼は唯一、私に普通に接してくれる人だ。二年のこのクラスになって、彼は私のオアシス。 ああっ素敵! そんな彼に私は恋をしてしまったわけだけど。  しかしながら彼。 「俺の彼女もいたって普通だからなー」 彼女持ち。 彼女一筋で、私なんか眼中にもない。 だから、逆に私はこの人に惹かれてしまったんだと思う。 「そんなに可愛い事は嫌なの?」 「嫌な事ばっかり。名前も知らない人から告白されるし、しまいにはストーカーまで」 「うわぁ……そりゃ大変だね」 しかも親身になって私の相談を乗ってくれて。 最高じゃないですかっ! 「小瀬木、次移動だぞ」 「あ、そっか。選択だっけ? じゃあ頑張って、可愛」  爽やかに笑顔を振り撒いて、彼はクラスの友人と教室から出て行った。 「私も行こ」 クラスで誰といるかって? 答え、独り。 クラスでなんて独りですよ。沙良は違うクラスだし。 もう慣れたけど。
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