476人が本棚に入れています
本棚に追加
はぁーと頬杖をつきながら盛大なため息をこぼすと、前の席の小瀬木薫(こせきかおる)君が振り向いた。
「どうしたの?すごいため息」
「んーちょっと疲れたかな?」
「美少女も大変だねぇ。俺は平凡だから可愛の気持ちは分かんないよ」
彼は唯一、私に普通に接してくれる人だ。二年のこのクラスになって、彼は私のオアシス。
ああっ素敵!
そんな彼に私は恋をしてしまったわけだけど。
しかしながら彼。
「俺の彼女もいたって普通だからなー」
彼女持ち。
彼女一筋で、私なんか眼中にもない。
だから、逆に私はこの人に惹かれてしまったんだと思う。
「そんなに可愛い事は嫌なの?」
「嫌な事ばっかり。名前も知らない人から告白されるし、しまいにはストーカーまで」
「うわぁ……そりゃ大変だね」
しかも親身になって私の相談を乗ってくれて。
最高じゃないですかっ!
「小瀬木、次移動だぞ」
「あ、そっか。選択だっけ? じゃあ頑張って、可愛」
爽やかに笑顔を振り撒いて、彼はクラスの友人と教室から出て行った。
「私も行こ」
クラスで誰といるかって?
答え、独り。
クラスでなんて独りですよ。沙良は違うクラスだし。
もう慣れたけど。
最初のコメントを投稿しよう!