中学時代

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中学二年生の2学期。 私は受験勉強に追われていた。 別に高いレベルを目指すわけでもなく、ただただ勉強していた。 「やっばいよーっ!電車間に合わないしーっ!」 塾は個人でやっている矢野塾に通っていた。そこは少人数だし、浜辺の近くで交通には不便だが気に入っている。海を眺めると落ち着くし。でも、今日は駅までダッシュで帰らなくちゃいけない。 「危ないよ」 どこからか声が聞こえて立ち止まってしまった。彼は波の音を聞いているみたいで、耳に手をあてていた。 「なに、してるの?」 私は彼に話しかけてしまった。 自分でも何故だかよく分からなかったけれど。 「危ないよ、夜遅くに。こんな場所にいるなんて」 「今は塾が終わるの21時なんですーっ。学生は忙しいの」 彼は不思議そうだった。 「なんで、塾に通う必要があるの?昔はそんなの行く人いなかったのに」 「はぁ?」 意味がさっぱり分からない。 今の時代を否定してるようなものだ。 「中高校生が一番危ないんだよ。塾だから、習い事だから夜が遅いなんてのは言い訳だ。遅くなるなら迎えに来るのが親だ」 「…あんたに何が分かるの!?」
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