プロローグ

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砂漠世界最大の都『ヴィッセル』 『扉』の存在が唱えられて以来、都ではある提案が出された。 “より大きな『扉』を見つけ出し、過去の因縁を忘れ、他世界の住民と親交を深めよう” これに多くの重臣達が賛同した。中には向こうから来たときにと、おもてなしを考える者までいた。 だが、ある大男が独り反対した。 “我々の祖先の強き意思に反する真似はできぬ。奴らを服従させ、真の覇権を手に入れるべきだ!” この発言に重臣達は驚き、危険人物としてその大男を捕らえようとした。 だが、遅かった。その発言と共に槍を構えた大男は、国王と王家の者を人質にとってしまった───。 こうして、すれ違う二つの提案は遂に争いを起こし、二つの勢力を築く。 『キル・フォース』 大男は都の兵力を奪い、『扉』の手がかりを見つける為に各地で反乱を繰り返す。 その結果、小さな村や遺跡は徹底的に破壊され、難民が激増した。 『ループ・フォース』 キルと対抗する一方で『扉』を探し、平和を導こうと図る正義の軍団。 だが、ループに加えて一般の市民も、この戦争に違和感を感じていた。 元々は正義の為に世に尽くしていたヴィッセルの精鋭が、何故争いを好み始めたのか。 国をあれほど憂いていた国王が、何故刃向かうことが出来なかったのか……。 全ては大男の影となり、平和だった砂漠世界は『グリア戦争』の二の舞となってしまった……。 神はこれを見て何を感じただろう。いや、こんな世界を今も見守ってくれているのだろうか。 例えばあそこの、小さな村を包む小さな炎さえも────
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