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それから、しばらくしたある日、tetsuはアリスの家に向かった。インターホンを鳴らしても誰も出なかった。
いつもなら誰かしら居るはずだと不安になったtetsuだった。
tetsu「ごめんくださーい……どうしたんだろ…」
その時、アリスの姉アスカが帰って来た。
アスカ「tetsuさん!!」
アスカは戸惑った表情を見せた。tetsuはそれを見逃さなかった。
tetsu「アリスは?アリスはどうしたんですか?!」
アスカ「tetsuさん中へどうぞ…ちゃんとお話しますから…」
tetsu「はい…」
リビングへ通されたtetsuは何とも言えない緊張感が募って来た。
二人は向かい合う様に、ソファーに座った。
アスカ「アリスは今…入院しています…」
tetsu「え?!アリスが入院?どうして知らせてくれなかったんですか?」
アスカはtetsuに構わずこう続けた。
アスカ「昨日、検査の結果が出てオペが決まりました。ただ、オペは日本ではなくボストンにある病院でします…アリスもそれを望んでます」
tetsu「ボストンでオペ…」
急な話しに驚きを隠せないtetsuだった。
アスカ「これから、向こうの病院の手続き、新居探したり色々と忙しいの…tetsuさんだってこれから忙しいでしょ?」
tetsu「え?」
tetsuにはアスカの言いたい事が解らず、ただ黙って話しに耳を傾けていた。
アスカ「tetsuさんが…アリスを重荷に…」
tetsu「待って下さい!俺はアリスの事、そんな風に思った事一度だってありません!」
アスカは涙を浮かべた。
アスカ「ありがとう。tetsuさんはそうでもアリスは、自分のせいでtetsuさんの好きな音楽が出来ないってきっと責める…お願いtetsuさん、アリスにもう会わないで…あの子の決断が鈍る前に離れて…アリスも好きな事やってるtetsuさんが好きなはずだから」
アスカは声を震わせながらそう言った。
tetsu「…アスカさん…」
tetsuは思い悩んだ。
どんな事があっても、アリスが遠くへ行ってしまうなんて考えてもいなかったからだ。
tetsuは意を決した様に一度頷いた。
tetsu「解りました…。アリスとは、もう逢いません…アスカさんもお元気で」
tetsuはそう言うと部屋を後にして、車に乗り込むと行く宛てもなく、沈みかけた街中をドライブした。
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