少年と桜

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桜。それは日本の春を代表する花。出会いと別れの季節の象徴 そんな桜の木が一本、今まさにそのつぼみを開こうとしていた。 「さ、咲いた!」 声の主は20代後半くらいの、どこにでもいる普通の男性であった。強いて特徴を挙げれば男に興味があるってことカナー。名前を道下正樹という。 道下「やったー!」 男は、そのたくましい肢体を白日の元に晒しながら桜の開花を喜んだ。それはもう喜んだ。トメ(享年75才)が初孫を授かった時よりも喜んだ。 さてこの男、なぜこんなにも、わなわなと震え穴という穴から汁を出し膝に向かって雄叫びを上げるほどまで喜んだのか。それを理解していただくためにはちょうど10年前の春の出来事を振り返らねばならない。 そう、作者が鼻水を鼻→口で循環させていた頃だ。
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