196人が本棚に入れています
本棚に追加
きゅ、と眉間にシワを寄せるソニア。
挑発を無視されたのが気に食わないのだろう、多分。
いつもの反応。
「ハイナのくせに生意気」
滲み出る嫌悪感を隠そうともせずにソニアは言った。
私からしてみれば、ソニアの方がずっと生意気なのだけど。
「死んじゃえっ」
ムスッとした顔でソニアはそれだけ言うと、くるりと身をひるがえさせて、扉を勢い良く閉め、出て行った。
たたたたっと、階段を降りる音が聞こえる。
恐ろしく幼稚なソニア。
あれが私の妹だなんて信じたくない。
私に勇気があればそっくりそのまま、その台詞を返すのに。
「死んじゃえ」
私は彼女が言った言葉そのままを吐き捨てる。
誰にも聞こえないように、小さく。
ガタガタとす絶え間なく入ってくる、雨水とすきま風。
この地域は、常日頃雨だ。
晴れる事なんて、ほとんど、滅多に、絶対にない。ないのだ。
だからこの雨も、いつもの雨。
いつもと何ら変わりない、雨だった。
最初のコメントを投稿しよう!