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カタカタと窓がゆれ、雨が窓を叩く。
横に寝て手を広げると、もう空間がなかった。
つまりそれだけ狭い部屋な訳だ。
仰向けになると、天窓から白い空が見えた。
恐らくまだ十二時になったばかりなのに薄暗い。
部屋の空気が悪いせいで、息苦しかった。
でもそろそろ彼女が帰って来るはずだ。
もう十二時を過ぎたから、学校から彼女が帰って来る。
私の代わりの彼女が。
彼女は、私と違って聡明だった。
だから学校での成績だって良かったし、お母さんだって彼女を誇った。
全てが私と違う彼女。
私が左手なら彼女は右手だ。
似ていても明らかな差は目に見えている。
でもだからこそ、私ではなく彼女が私の代わりになった。
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