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湿っぽく冷めた隙間風が私の頬を切る。
ガタガタと部屋の外が騒がしくなる。
同時に、床の軋む音、階段を上って来る音がする。
彼女が帰って来たみたいだ。
噂をすればなんとやら。
そんな事をぼんやり考えながら、私は横たわったまま扉の方へ目をやった。
茶色く、沢山ひび割れをした、扉と言うよりは板と言った方が相応しいような扉。
この屋根裏部屋まで続く、古びた階段を上る音が、徐々に近づいて来る。
そして、足音が扉の前までやって来た。
ドアノブと言うにはいささか質素な取っ手が、がちゃりと周り、ドアが開く。
蝶番が錆びてしまってる上、壊れているので、やたら耳障りな音を立てて。
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