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act1.気付けない幸福
「ねぇ、グリド。今日のお客様はどんな方なの?」
イヴの落ち着いた、しとやかな声が店内に響く。
「何処にでもいる、普通の幸せを手にした女性だよ。」
グリドはククッと笑いながら答える。
「まあ、だったら今日のお相手は貴方の方が良さそうね。」
「ああ、そうだな。君は奥で見ているといい。」
イヴはニコッと笑って鏡の間へと消えた。
古ぼけた扉が開いたのは、その直後―
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