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金の斧銀の斧
雨上がりの後の清々しいある朝の事でした。
木こりは、雨露で光輝く森の中で木を切っていました。
木こりは切った木を薪にして売り、生計を立てていました。
今日も愛用の斧を使い、鼻歌を歌いながら木を切る木こり。
途中で喉が渇いたので泉で喉を潤し、その近くでまた作業を開始しました。
しかし、濡れた手で作業をしたため、手を滑らせ斧を泉の中に落としてしまいました。
「ああ、大事な斧が。これでは仕事が出来ない」
膝を地面につけ、悲しむ木こり。
ところが、斧を落としてしまった泉が光輝いているではありませんか。
そして中から美しい女神が現れました。
「貴方が落としたのはこの金の斧ですか?それともこの銀の斧ですか?」
女神は両手に金の斧と銀の斧を持っていました。
そして正直者の木こりは
「いいえ女神様。私が落としたのはどちらでもありません」
と言いました。
「そうですか……、わかりました」
そう言って女神は泉へ戻っていきました。
「ちょッ!?俺の斧は?ねぇ、ちょっと!!俺の斧返してよ!!ねぇ!ねぇ!」
木こりは何度も泉に向かって言いましたが、結局女神は現れませんでしたとさ。
めでたしめでたし。
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