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神々の運命、世界終焉の日、ハルマゲドン……様々な呼び名がある神代の戦い。
戦いの名はラグナロク。
ラグナロクが今、終焉の刻を迎えようとしていた。
この終焉の日、1人の勇者が共に歩んできた少年に別れを告げた。
「この戦いがこの時代での最後の戦いになる。この戦いが終わったら……俺は……他の勇者神の様に力を回復するため、石になるんだ」
ジークは寂しそうにそう言うと彼はキリクの両手に持っている無数の石に眼をやった。
「これが終われば、キリク君には…………もう……2度と会う事は出来ないだろう」
もう2度と会う事はない……その言葉にキリクは必死に涙を堪えていた。
「……ジーク兄ちゃん……さよならは言わないよ……今はね。だから……だから必ず戻って来て! 僕は待っているから! そして……僕の前でサガストーンになって! サヨナラはその時に言うから」
キリクの必死の言葉にジークは静かに頷いた。
「分かった。必ずキリク君の元に帰ってくるよ。俺もさよならはその時に言うから。……それじゃあ……行って来るよ」
ジークはキリクに背を向けて歩き出した。
「待って!」
「!!」
ジークはキリクに呼び止められ振り向いた。
「何だい?」
「これを……これをジーク兄ちゃんに預けるよ」
キリクはポケットから1つの指輪を取り出し、指輪をジークに渡した。
「……これは?」
「僕の宝物だよ。この戦いが終わって僕の所へ帰って来たら僕に返してね。これは帰ってくる約束の印だから!」
「……わかった」
ジークは指輪を右手の中指にはめた。
「ジーク兄ちゃん……行ってらっしゃい!」
キリクは笑顔でジークを見送る事にした。
これが最後の別れではない、まだ会える!ならば安心して笑顔で目の前の勇者を見送ろう。
「ああ! 行って来る!」
ジークは振り返り、走ってキリクの元を去って行った。
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